講演会
第2回スペースフライト学研究イニシアティブ講演会
日時
2013年3月1日(金)13:00〜17:00
場所
大阪大学工学部M4棟201講義室(吹田キャンパス)
こちらを参照
プログラム
13:00〜13:30
大須賀 公一 先生
(大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻教授,スペースフライト学研究イニシアティブ代表)
「スペースフライト学研究イニシアティブ構想」
2012年10月に発足した本組織が生まれた動機とその展開について概要を紹介する
13:30〜15:00
土屋 和雄 先生(同志社大学理工学部教授,JST CREST,京大名誉教授)
「宇宙工学への招待―宇宙機の姿勢運動解析・制御から―」
宇宙開発は,宇宙機を宇宙に打ち上げるロケットの研究開発と宇宙機の研究開発をとおして進められている.ロケットの研究開発は長い歴史を持っており,我が国でも戦後間もなくから,糸川英夫先生をリーダーとするグループで基礎研究が進められてきた.一方,宇宙機の研究開発は比較的新しく,我が国では,1960年代後半から研究開発が始まった.宇宙機の研究開発は,地球をはじめとする天体の引力場の中を航行する宇宙機の軌道予測・制御と,宇宙機の姿勢運動解析・制御に関する研究開発からなる.宇宙機の姿勢運動は,剛体あるいは弾性体の結合した力学システムの角運動保存という拘束のもとでの運動であるが,地上では,あまり経験することのない現象であるため,人類初の宇宙機であるスプートニク1号,エクスプロアー1号以来,宇宙機の姿勢制御技術は,失敗を通して学び、進歩してきた.講演では,宇宙開発の幕開けの時代をも振り返りながら,宇宙工学特に宇宙機の姿勢運動解析・制御の楽しさを,お話したい.
15:30〜17:00
津田 雄一 先生(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系助教)
「イカロス・はやぶさ2におけるアストロダイナミクス」
深宇宙探査は,アストロダイナミクスの最前線である.深宇宙探査を実施するためには,軌道計画,軌道決定,誘導航法制御などのいわゆるアストロダイナミクスの知識が欠かせない.本講演では,JAXAが打ち上げた世界初のソーラーセイル実証機「イカロス」と,現在開発中であり2014年に打ち上げ予定の小惑星探査機「はやぶさ2」を例にとり,それらの現場でのアストロダイナミクスの実例を紹介する.イカロスにおいては,ソーラーセイルとしての性能(=光圧による摂動)をいかに計測したかを紹介するとともに,実際に打ち上げて運用することで初めて見出した,ソーラーセイル機特有のダイナミクス発見のプロセスを例に,アストロダイナミクスの魅力をお話ししたい.また,はやぶさ2においては,小惑星サンプルリターンというキーワードから生まれる,種々の魅力的なアストロダイナミクスの課題について,実際にはやぶさ2で行うと決めているものから,チャレンジしたいものまで含めて,話題を提供したい.